ブルアカの話、最近のアニメの流行と王道の話

  今日更新のブルアカストーリー本当に良かった。王道ストーリーで多少の予定調和感があったかもしれないが、それで良いしそれが良かったと思う。例えば推理小説なんかで「奇跡パワーで被害者が生き返った!容疑者は無罪!」なんてやられたらたまったもんじゃないが、それは推理小説には合理性を求めて読んでいるからだ。逆にファンタジーは現実とは違う異世界を感じたいがために読んでいるので、そこには現実には決して無い奇跡があってほしいとは思う。

 また、それが王道であるところも良かった。最近のマンガアニメの傾向として、主人公が根っからの善人でなかったり復讐がテーマだったりすることが多い。例えばなろう系のあれこれとかチェンソーマン、水星の魔女とか。決してそれらがつまらない訳じゃないし(むしろ面白いし)それらの流行を否定したい訳じゃないが、やはりそのような暗めな流行が続くと時世も相まって気が滅入ってしまう。そんな流行の中で救われるべき人が全員救われ、全員がハッピーエンドを迎えられるような王道の作品は非常に貴重でとてもありがたく感じる。少し違うかもしれないが、ぼっちざろっくが日本中で大ヒットしたのもこれが理由だと思う。最近のアニメにはない、底の状態から自分の特技によって仲間を見つけ、仲間とともに成長していくといういわゆる王道青春ストーリーだったのが潜在的に自分と同じようなことを思っている人たちに受けて今のぼざろブームがあるのだろう。ブルアカもそれと同じで、意地でもハッピーエンドに持っていくという作品スタイルが今の流行に逆行していて、その新鮮さがとてもおもしろく感じるのだと思う。

 書いていて思ったが、本来王道とは定番であることを指す言葉であるはずなのにそれが今では貴重な存在となっているのが面白い。いわゆるアニメ・マンガの王道が作られたのが今から数十年前の話であるので、その頃の「王道」と今現在の「王道」とではその言葉の指す内容が違うのだろう。ファッションにおいては流行が繰り返すという話を耳にしたことがあるが、アニメ・マンガでも同じことが言えるのだと思う。数十年前の作品群によって作られた定番から今現在の流行に移り変わり、そしてそれに逆行したぼざろやブルアカのような作品が増えていき、そしてそれらがまた再び定番となる。このような流行の繰り返しがアニメ・マンガにもあるんじゃないかなと思った。